果たして大学病院は無用の長物か?(その3) - ある地方大学元学長のつぼやき次に、大前氏が医学部を厚労省管轄にするべきとされる具体的な理由を見ていきましょう。
「日本の場合、医師が何科の看板を掲げるかは自由である。医師免許を取得した者は人間の身体について全部理解しているスーパー・ゼネラリストであり、内科の診断もできれば外科の手術もできるという前提になっているからだ。
しかし、実際には大学在学中に専門分野を決めるので、血を見たり、手先の器用さが要求されたり、医療過誤で訴えられる可能性が高かったり、診療効率(患者の回転)が悪かったりする外科、産婦人科、形成外科、小児科などは人気がなく、聴診器を当てて薬を出すだけで済む内科は人気が高いのである。
この問題は医学部を「学問の府」とみなして、文科省が管轄している限り解決できないが、厚労省が管轄して患者の立場から考えればメスを入れることができると思う。つまり、医療行政の一環として診療科ごとに医師を養成し、医療現場の必要に応じて不人気な科の定員を増やし、人気がある科の定員を減らせばよいのである。
もしくは、外科医の給料を内科医の10倍にすればよい。医師の地域偏在についても、医師が不足している僻地などに赴任する場合は給料を格段に高くすればよいのである。
あるいは、不足している地域に15年以上赴任する場合は返済不要な奨学金を出す、などの策が自在に設計できる。そのように地域と専門分野別に給料や授業料などでインセンティブを与えれば、医師の最適配分が可能になるはずだ。」
つまり、診療科間および地域の医師の偏在の対策として、診療科の定員制の導入およびインセンティブ手法をあげておられます。