電通。明治34年(1901)7月に誕生した。文字通り20世紀がスタートしたと同時に発足したわけで今年(1981年)ちょうど80周年を迎える。この会社は、これまで、まるでタブーのようにマスコミの洗礼を受けることなく、謎につつまれた聖域として存在してきた。

資本金11億5200万円。従業員数5340人。企業の規模としてはさほど大きなものではなく、79年度の売上高5276億7347万円も、電通は上場企業ではないが、その順位にあてはめると、62位の松下貿易(5286億円)と、63位の西友ストアー(5265億円)の間で、つまりは日本で63番目に売上高が多い企業にすぎない。だが、電通という名称には、こうした企業規模とはまったく異なった特別の響きがある。ことにマスコミの世界では、電通は怪物(ビビモス)、いや超権力として君臨している。テレビ界の人間たちは、電通のことを〝築地編成局〟だといい、ジャーナリストたちは、この怪物を〝影の情報省〟〝築地CIA〟と呼ぶ。〝築地編成局〟とは、日本の全テレビ局の本当の編成権は電通にある、つまり電通が日本のテレビを支配しているという意味だし、〝影の情報省〟〝築地CIA〝とは、日本の情報戦略は、実は電通が操っているのであって、ようするに電通が日本を動かしているのだということだ。あるいは〝電通金太郎アメ説〟なるものもある。日本中の目につくかぎりのイベントの舞台裏をのぞくと、どこにも電通の影がある。つまり、日本のどこを切っても、まるで金太郎アメのように電通の顔がある、というのである。

電通
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